私が父親からまとまったお金を借りたのは、20代後半の時でした。

両親がめったに来れないことを見越した遠方で就職がきまり、就職先の街への転居費用として100万ほどのお金を借りたのが最初で最後です。

ずっと両親の束縛と干渉があったので、とにかく実家を出たくて仕方がなかったのですが、実家を出るには、「お見合いで結婚する」か「お見合い話を蹴って就職・自立して家を出るか」の二つの方法しかありませんでした。


私は後者の方法を選びました。両親に黙って東京まで試験を受けに行き内定をもらったので、その時初めて「私は自立したい」と言って最初で最後でいいから転居費用のお金を貸してほしいと土下座して頼みました。

最初両親は反対しましたが、父親と再度じっくり話した結果、「お母さんは説得するから、これでいいか?自立できたら、少しずつでも返せ。その覚悟がなければ自立はできんぞ。いいな。」とお金を貸してくれました。それ以上は何も言わず、黙って見守ってくれました。「借りたものは必ず返す」。当たり前のことですが、父から最後に教えてもらったことです。

入社後、お金を稼ぐ大変さ、安易に借りたりしないこと、お金の大切さと怖さと身をもって知りました。その後、就職先で知り合った人と結婚しました。結婚前に少しずつ貯めたお金を父に返そうとしましたが、父は受け取りませんでした。「その心意気でいい」と一言。

父だから借金の怖さに震えることはありませんでしたが、カード社会、ローン社会となった今でも、安易な気持ちで借り過ぎない、使いすぎないことをを心に決めて使っています。